聖路加国際大学の「キリスト教精神」

トイスラー博士

キリスト教は「宗教」というよりも一つの「生き方」であるため、「キリスト教精神」を一言でまとめることはやや難しいです。その精神の一つの大事な要素として、聖書による人間理解が挙げられるでしょう。聖書によれば、人間は創造主である神によって造られた尊い存在であり、掛け替えのない命を授かっているため、侵害してはいけない尊厳を持っている、と強調されています。近代思想や民衆主義や人権の発想も、また現代医療におけるインフォームドコンセントの原則などもこの聖書の人間理解に由来しているものです。

キリスト教精神のもう一つの大事な要素として、イエス・キリストが説き明かされた隣人愛があります。イエスさまは、人生で最も大切なことは全身全霊で主なる神を愛することと「隣人を自分のように愛すること」と教え、教会ではその愛がすべての行動の基準として位置づけられています。

イエス・キリストの隣人愛の特徴は、相手の人種、国籍、性別、宗教心などを問わず、目の前に困っている人が己の隣人であり、己の思いやりとケアの対象となる、ということです。現代病院の概念そのものがこの隣人愛の実践から生まれたものです。聖路加国際病院の理念もこの隣人愛を取り上げています。「キリスト教の愛の心が人の悩みを救うために働けば、苦しみは消えて、その人は生まれ変わったようになる。この偉大な愛の力をだれもがすぐわかるように計画されてできた生きた有機体がこの病院である。」

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